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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第16章 それぞれの真実





しかし、ビャクを肩に乗せ固唾を飲みながらアンダーテイカーを目で追ってると、背後から“カチャリ”と無機質な音が聞こえてきた。



「動くな……」



「(え……?)」



振り返ると自身の目の前にいたのは銃口を向けているシエル。



「(シエルさん……)」



「マリアンヌ、お前はアンダーテイカーの正体やアウローラ学会の裏の目的も全部知っていたのか?」



「(……………)」



マリアンヌはシエルの問に、首を縦に振り素直に答えた。



「なんだと…お前は全てを知っていながら何も思わなかったのか?あんな化け物と人間を殺し合わせてどっちが多く生き残るかなんて正気じゃない!!いったいお前は…!」



顔を歪ませて厳しく追求するシエルだが、マリアンヌだって何の想いも無しにアンダーテイカーの側に居たわけでは無い。


マリアンヌにだって言い分はあるのだ。

真剣な目でシエルを見つめながら胸元に入れてある小さなメモとペンを出すが、シエルはマリアンヌの手元を銃の先で振り払った。


「(あっ……!)」




メモとペンが放物線を描き飛んでいく。




「こんな非常時にチンタラ筆談なんかしてられるか!!口で話せ!!唇を読む。さっさと話せ!!」



「(………!!)」



睨みつけ、強い口調でシエルはマリアンヌを急かす。

マリアンヌは自分のした選択に後悔などしていない。

殺気立っているシエルに臆する事なく話し始めた。




「(私は…不貞の末に生まれた子供。それ故に疎まれ続け、3歳で母親を失ってからは娼館に売られて奴隷よりも酷い扱いを受けて育ちました。)」



「……何?!」



「(親から与えられるであろうごく普通の愛情も知らないまま、人間として扱われる事もなく働かされ、そして強欲な男達に身体を引き裂かれて、金儲けの道具として家畜以下の生活を強いられたわ。そして散々傷つけられた挙げ句に、冬の雨が降る夜、ゴミ同然に捨てられたの。)」



「………」



「(でも、でも…私が命の鼓動を止めてしまう寸前に、アンダーテイカーさんは私を見つけて助けてくれた。)」


過去の忌まわしい記憶が蘇るが、マリアンヌは必死に堪えて続けた。





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