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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第16章 それぞれの真実




「(私はこの世に生を受けた瞬間から既に疎ましい存在で、私をとりまく全ての人間は私の事を奴隷以下、家畜以下に扱い働かせた。働かされるだけならまだましよ!!私が受けてきたのはそれだけじゃない!好きでもない男に金で買われて、次から次に交わることを強要された。強欲で、汚い男達に毎晩何度も陵辱されて、それだけでは飽き足らずに鞭や刃物で何度も傷つけられた!)」


マリアンヌは羽織っていたコートと肩のパフスリーブを下にずらすと、痛々しく残る傷跡の一部をシエルに見せる。


「……っ!!」


マリアンヌの腕や手、デコルテラインなど、露出している部分は色白で、シミ1つない滑らかな肌だ。

しかし、肩から覗かせた背後には、肌の色は変色し、いびつな傷跡が残り、引き攣れ、とても直視できるものではなかった。


「(でも…アンダーテイカーさんは…アンダーテイカーさんだけは、私を1人の人間として見てくれて、とても大切にしてくれた。こんな不貞の末に生まれた私を…娼婦として使い古された私を、“美しい”って言ってくれて大切に側に置いてくれたの!!だから私はアンダーテイカーさんだけが側にいてくれればいいの…人間なんて自分勝手で、簡単に人を傷つけて、殺して、自分の地位や名誉、財産を守る事ばかり!!私はもうそんな人間達にはうんざりなのよ!!)」



人間に対しての怒りや憎悪の気持ちが高ぶり、感情のままに叫んでしまったが、マリアンヌはそんな事は構わなかった。

極悪非道な行いを平気でする様な人間に、アンダーテイカーの事を悪く言われる筋合いは無い。

それに人ならざる者と共にいるのは、シエルだって同じではないか。



「(それに…シエルさんだって同じじゃないですか?)」



「ハッ……何の事だ?」



「(セバスチャンさんが人間ではない事を私は知っています。)」



「なんだと…?!」



マリアンヌの生い立ちや、アンダーテイカーに固執する理由も衝撃だったが、セバスチャンの正体をマリアンヌが知っていた。


まさかの展開にシエルの眉間にはシワが寄り、さらに鋭くマリアンヌを睨み上げた。




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