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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第2章 死神とゲーム♪



語気から少しだけ危険なオーラを感じたマリアンヌだったが、狭い馬車では逃げ場はない。
マリアンヌは囚われた兎もいいところだ。

「じゃあ次は小生の番だよ。」

目元は前髪で隠れていたが、その見えないからこその視線にゾクリと背筋が凍った。
トンチをきかせた抵抗など、もはや無駄な抵抗だっただけではなく、むしろ逆効果で、アンダーテイカーの何かに火を付けてしまったようだ。

マリアンヌはそんな自分に盛大に後悔をしたが、もう後戻りはできない。

冷や汗を一筋流したマリアンヌに気づく様子もなくアンダーテイカーはコインを投げた。





「は〜い、ハズレ〜。」





「(……………!!!)」

何故当たらないのだ。確率は二分の一。
これだけ何度もやってるのに。適当に選んでも1回位は当たってもいいはずだ。

「(うぅ……)」

マリアンヌはうらめしそうにアンダーテイカーを見据えるが、そんなのはお構いなしといった様に容赦の無い“お願い”を突きつけてくる。


「さっきはしてやられちゃったからな〜今度は逃さないよ〜」


マリアンヌはゴクリと唾を飲み込んだ。


「さっきのお願いをもう一回だ。ちゃんとマリアンヌの唇で小生の唇にキスだよ。それと、小生がいいって言うまで離れちゃ駄目だからね〜」

……ここまで抜かりなく言われてしまうと、トンチや曲解で逃げることはできそうにない。
もう従うしかなさそうだ。



観念したマリアンヌはゆっくりと唇を近づけていく。



ガタガタと揺れるため、座席から落ちないようにアンダーテイカーの胸元を両手で掴んだ。



その様子に今度は素直にキスをすると思ったのだろう。アンダーテイカーは微かに笑みをこぼすと少しだけ頭を下げて屈んでやった。



「(もう……恥ずかしい……!)」



マリアンヌはギュッと目を瞑って思い切り上を向くが、あと数センチのところで唇まで届かない。



ギュッと掴んでたアンダーテイカーの胸元を、少しだけ自分の方に引くと、2人の唇はガタガタと揺れる馬車の中でぎこちなく重なった。



触れるだけのキスをすること数十秒。


「よくできました〜」


アンダーテイカーは唇を離すと満足そうに笑いコインをマリアンヌの手に渡してやった。


「はい、次はマリアンヌの番ね〜」


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