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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第2章 死神とゲーム♪



──ガタッ、ガタン、ガタン、ガッ──


足場が悪いと言われていただけあって確かに馬車はよく揺れた。
時折車輪が大きな石を踏むと、ドンッと尻が浮いてしまう。

「ヒッヒッヒッ、本当に揺れるね〜マリアンヌは酔ったりしてないかい?」

確かに、揺れだした時は気分が悪くならないか心配になったが、意外と大丈夫だったマリアンヌはコクリと頷いてみせた。

ガタガタと身体を揺らしながら帰路に向かう馬車。
特に何か話をする訳でもないが、そんな静かな空間もマリアンヌは嫌いではなかった。

そんな穏やかで静かな馬車内で、アンダーテイカーは何か閃いたようにニヤニヤと楽しそうに口を開く。

「ねぇ、マリアンヌ。小生とゲームをしないかい?」

「(え?ゲームですか?)」

「近道とはいえまだかかるし、小生と遊びながら行こうよ〜」

長時間の馬車道など、いつもの事である。
2人で黙ったまま馬車に乗っているのなんていつもの事なのに今日に限ってどうしたのだろうか。

「(はい…いいですけど…どんなゲームですか?)」

とは言っても特に断る理由もなかったため、マリアンヌは誘いに乗ることにした。

「簡単なゲームだよ〜」

すると、アンダーテイカーはコインを1枚取り出した。

「小生がコインを投げて落ちてきたところを両手で挟んで握るから、マリアンヌはどっちの手に入ってるか当てるのさ。簡単でしょ〜?」

「(はい、わかりました。)」

確かに簡単だ…
でもマリアンヌは一応念を押したいことがあった。

「(あっ!でも死神の力を使うのは無しですよ!)」

「…………!」

一瞬ギクッとなったアンダーテイカーだが、きっとばれてはいないだろう。

「も、もちろんさ。」

早速ゲームは開始された。



「は〜い、どっちかな?」

ピンと高く弾かれたコインはアンダーテイカーの胸元でパンと両手で挟まれ素早く拳は左右に別れた。

その鮮やかな動き故にどちらにコインが入ってるかなどまったく分からなかった。
マリアンヌは勘だけを頼りに指をさすが何回やってもハズレてしまう。

「は〜い、またハズレ〜」

単純なゲームなだけあって一度も勝てないとなると、普段おとなしいマリアンヌも段々と熱が入ってきてしまう。

「(アンダーテイカーさん!もう1回です!)」



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