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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第10章 その死神、激情




「セバスチャン、マリアンヌはいったいどうしたんだ…」


「坊っちゃん、マリアンヌさんは強い薬酒に酔われてしまった様です。いかがなさいますか?」


「1人でいるってことはアンダーテイカーは仕事で不在にしているはずだ…はぁ…仕方ないから屋敷に連れて帰ってやれ…」



「イエス・マイロード。」



するとセバスチャンと呼ばれた男は、困り果てていた店主に向き直ると、お辞儀をしながら助け船をだした。


「私はファントムハイヴ邸で執事をしておりますセバスチャン・ミカエリスと申します。そちらのマリアンヌ様は我が主と知り合いで御座いますので、宜しければ屋敷にお連れして介抱致しますが…」


「嬢ちゃんとお知り合いでしたか?それは助かります!女房が出かけちまってるもんで、店を留守にできなくて困ってたんです。任せても宜しいですか?」



「もちろんでございます。お任せください。」


「すみません!宜しく頼みます!!」


すると、セバスチャンはマリアンヌを横抱きに抱き上げると馬車に乗り込んだ。


『クルル…』


しかし、ビャクは馬車には乗らない方がいいと判断したのだろう。馬車の扉が閉まると、あいていた窓から勢いよく飛び出し空高く飛んでいってしまった。


「なんだ…あの鳩は…」


「さぁ…私には分かりかねますが…」


ビャクの存在を知らなかった2人は、特に気にも止めずに窓を閉めると屋敷まで馬車を出発させた。











「坊っちゃん、セバスチャンさん!お帰りなさいですだ……ってえ?え!マリアンヌさん?いったいどうしたですだか!?」


迎えでたメイリンが驚くのも無理はない。


セバスチャンの腕には意識を手放してしまったマリアンヌがいたのだ。


「マリアンヌさんは街のパン屋のご主人からだされた強い薬酒を召し上がったせいで、酔ってしまわれたようです。生憎葬儀屋さんも仕事で不在にされてるのでこちらにお連れしました。」


「強い薬酒?マリアンヌさん、大丈夫なのですだか?」


メイリンは心配そうにマリアンヌの顔を覗き込んだ。


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