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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第10章 その死神、激情





ーカチャー


「(ビャク、おはよう。っあ、もう朝じゃないよね…)」


マリアンヌが店の扉をあけると、ビャクは待ちくたびれたとばかりに飛んできた。


「(ごめんねビャク…寝坊しちゃって…)」


『クルルル…』


寝坊するまで寝ていたにも関わらず、マリアンヌの顔はまだボンヤリとしていてオマケにあくびまでしている。

まったくアンダーテイカーはどんだけマリアンヌに無茶をさせたのだと、ビャクは思わず抗議をしたくなってしまった。



「(ねぇ、ビャク、買い物に行きましょう。夕飯の材料が何もないの。外は寒いし明るいうちにいかないと…)」


冬の日暮れは早いため、マリアンヌは店に置いてあった骨型クッキーをつまんで朝食兼昼食代わりにすると、急いで買い物かごに財布を用意し始めた。


「(それじゃあ、いきましょう!)」


マリアンヌは店の扉のプレートを「CLOSE」にすると、ビャクを肩に乗せ、カギをかけて出かけていった。











「いらっしゃい!お、マリアンヌちゃんじゃないか!いつも買ってくバケット、今焼きたてだよ!」


「(こんにちは…)」


マリアンヌはまずパン屋に来た様だ。



「ん…?どうした?なんか疲れてないかい?顔色もよくないなぁ。」



「(え?)」



正直なところ、マリアンヌはまだもう少し寝ていたかった。

昨夜の疲れが残っていて身体はまだ怠い。



「どうしたんだい?仕事疲れかい?」


「(えと…あ、あの…)」


パン屋の店主はマリアンヌを気遣って声をかけたが、マリアンヌは俯いてしまう。

疲れていると聞かれれば疲れているのだが、その理由が仕事ではなく昨夜の激しい情事が原因だとは流石に言えない。


マリアンヌは曖昧に苦笑いで頷くことしかできなかった。


しかし、パン屋の店主はそんなマリアンヌを気の毒だと思ったのか、店の奥から“あるモノ”を持ってきた。


「ねぇマリアンヌちゃん!コレ、飲んでいきなよ!たちどころに元気になるぞ!!」


「(?!)」


店主が持ってきた物は、中身が良くわからない、茶色の瓶だった。



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