第10章 その死神、激情
ーとある日の昼前ー
「(……うーん………寝過ごしちゃったかな…?)」
マリアンヌは目を覚ますが、ひどく身体が怠い。だいぶ寝過ごした感じがするのだが、まだ起きる気にはなれず布団と毛布にくるまり再びまどろみだしたが、数分ゴロゴロこしたところでハッとなる。
「(あ、お仕事……)」
そう、今日は朝からアンダーテイカーと仕事にでる予定があったのだ。
しかし、昨夜はマリアンヌの月のものが終わり、アンダーテイカーにとっては待ちに待った夜だった。
翌日仕事だという事を念を押したのにも関わらず、アンダーテイカーはお構いなしに本能のままマリアンヌを一晩中ベッドの中で激しく愛し続けた。
「(………………)」
毎度毎度の事だが、今日も例に漏れずマリアンヌは寝過ごしてしまった。
ベッドには自分しかいない。
アンダーテイカーは1人で仕事に行ったのだろうか…
「(あ……)」
ベッドを出ようとしたマリアンヌはサイドテーブルに小さなメモが置いたあるのに気づいた。
この字はまぎれもなくアンダーテイカーの字だ。
マリアンヌはそのメモを手に取り読み始めた。
ー愛しいマリアンヌへー
昨日はちょっと可愛がり過ぎてしまったかな?
仕事は小生1人で行ってくるからマリアンヌはビャクと留守番を頼んだよ。
夕方には帰るからね。
愛してるよ。
「(……………)」
ちょっとどころではない!と突っ込みたくもなるし、自覚があるならもう少し制御してもらいたいと言いたいが、もうアンダーテイカーは出掛けてしまっていないのだ。
「(はぁ……)」
マリアンヌはため息をついてからスリッパを履くと、ベッドの足元の方にワンピースとガータータイツが置いてあるのが目に入った。
今日はコレを着て待っていて、という事なのだろう。
マリアンヌはアンダーテイカーの見えないメッセージを受け取ると、素直に置いてあったワンピースに着替えてビャクのいる店の方へと向かった。