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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第9章 フタリノキモチ




「(あれ…アンダーテイカーさん…いない…)」


一緒に寝ていたような感覚でいたのだが、昨夜は自分が寝たあと、寝室に戻ったのだろうか…


しかし、部屋を見渡すと、扉が開けっ放しになっており、おまけにマリアンヌの化粧ドレッサーが無くなっていた。


いまいち状況がつかめないでいると、廊下から少し早歩きで向かってくる足音が聞こえてきた。




「あれ〜?!マリアンヌ、起きたのかな?おはよう。」


「(あ、アンダーテイカーさん……あっ!きゃあ!)」


マリアンヌは自身が裸でいたことに気付くと、慌てて布団で隠した。



「もう恥ずかしがる事なんてないだろう?」



アンダーテイカーはニヤニヤと笑みをこぼしながらマリアンヌに近づくと、ベッドに腰かけて抱き寄せた。


「(え…あ、あの…えと……)」


確かに昨夜、する事はしてしまったのだが、だからといって恥じらいがなくなるわけではない。

アンダーテイカーは今まで相手にしてきた客とは違い、初めて好きになった男なのだ。
触れられるのも、肌を見られるのも、今まで感じた事のないほど恥ずかしい。



しかしそんなのはお構いなしだ。

アンダーテイカーは額にキスを落とすと、昨夜までの熱がスッカリ引いているのに気付く。


「熱は下がっだようだね。具合はどうだい?」


「(なんだか、スッカリいいみたいです。どこも悪くありません。)」


「それはよかった。でもだいぶ汗をかいたみたいだね…水を飲むといい。」


すると、アンダーテイカーはグラスに水を注ぐが、マリアンヌに渡すフリをすると悪い笑みを浮かべてその水を自身の口に入れてしまった。


「(え…?!)」


当然グラスを渡されると思っていたマリアンヌはキョトンとしてしまい、その手も空(くう)を舞ってしまう。


しかし、次の瞬間マリアンヌはアンダーテイカーに両頬を包まれると、そのまま口付けをされ押し倒されてしまった。


「(…う…んん………)」


それと同時に口内に入ってくる水。

入ってきた勢いでごくんごくんと飲み込んでしまったが、あまりにも突然すぎて、マリアンヌは飲み込んだ後に口移しをされた事に気付く。

目をあければ親指で口の周りを拭っているアンダーテイカーの妖艶な瞳と目があってしまった。

それだけで心臓は爆発寸前だ。
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