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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第9章 フタリノキモチ






マリアンヌはアンダーテイカーによせる想いも、このむず痒い身体の反応も、どうしていいのか分からず顔を上げると、その戸惑う黄緑色の瞳を見つめる事しかできなかった。








「マリアンヌ…いけないよ…そんな顔で見つめられたら小生……我慢できなくなってしまう…よ?」








我慢?

我慢とは何の我慢だ…




アンダーテイカーの言ってる意味が分からないマリアンヌは首を振りながら見つめ続けた。


「マリアンヌ……」


何を言っても言う通りにしてくれないマリアンヌに、アンダーテイカーの理性はもう崩壊寸前だ。




「よくお聞きマリアンヌ…。小生は…小生は、マリアンヌが可愛くて可愛くて仕方がない。一生懸命我慢をしていないと、大切な君を思うがままにしてしまいたくなる衝動を抑える事ができないんだ。…それだけマリアンヌの事が大事で大切なんだよ?だから…ほら、横になって…」



「(い、いやぁ……)」



しがみついているマリアンヌを引き離して寝かせようとしたが、抵抗したマリアンヌから首の後ろに腕をまわされてしまい、そのまま2人はベッドに倒れ込んでしまった。



ードサッー



アンダーテイカーが押し倒すような姿勢になってしまい、その交わる視線は、鼻と鼻が触れてしまいそうなくらいの至近距離だ。



アンダーテイカーは自分を思うがままにしたい衝動を我慢していると言った。

思うがままとは…男としての欲望の事だろうか。

自分が今まで娼館にやってくる客達にされてきた事だろうか。


「(…アンダーテイカーさん…)」



マリアンヌは、アンダーテイカーの言った言葉の意味を考えようと何度も頭の中で繰り返した。

でも、何度繰り返しても答えは同じだった。


マリアンヌはサイドテーブルに置いてあるペンに腕を伸ばすと横になったままメモの端に自身の想いを書き綴る。



「(私…アンダーテイカーさんになら…思うがままにされても…大丈夫…です)」


アンダーテイカーから視線をそらさずに手だけを動かして書いた字は崩れていて読みにくい。


でも、アンダーテイカーには十分に読み取れた様だ。

その証拠に、黄緑色の瞳はより一層戸惑いに揺れ、口元も真一文字に閉じ、いつもの微笑みは何処かへ消えてしまっていた。



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