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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第9章 フタリノキモチ






「(……ん……んん……)」


ボンヤリとしながらマリアンヌは目を覚ますが、なかなか瞼が重くて目を開けることができない。


久しぶりにぐっすりと深く眠った感じはあるのだが、自身の身体はまだ気怠く、眠る前より悪化しているように感じる。

さらに熱が上がってしまったのだろうか。

マリアンヌはどれくらい眠っていたのか時計を確認したかったし、熱も測りたかった。

だが、身体が重く、怠くて瞼すら持ち上げる事ができない。

娼館でこき使われていた時は熱だろうと風邪だろうと働かされていた。だが、今はどうだろうか。

寝不足だったとはいえ、熱1つで動けなくなってる自分がいる。
自分はアンダーテイカーの優しさに甘えてこんなにも情けない身体になってしまったのか…

自分にできることは仕事を手伝う事くらいだ。
それが熱がでたからといって、何1つできなくなってしまった自分にマリアンヌは腹立たしくなると同時に悔しくもなってしまった。


それと同様に湧き上がる不安感。


誰だって体調を崩せば心細くなるものだ。


かつては誰一人として頼りにできる人間などいなかったが、今はアンダーテイカーという存在がいる。

マリアンヌは自然とアンダーテイカーを想い心細くなってしまった。











怠くて目を開けることすらできないままただいたずらに時間は過ぎていく。

少し汗をかいた身体が気持ち悪いが、1人で起き上がって着替える気力がなかったマリアンヌは、しかたなくベッドに入ったまま大人しく横になっていることしかできなかった。



しかし……



カチャリ…と、そっと遠慮がちに部屋の扉が開く音がした。


アンダーテイカーだろうか?


足音をたてずに静かにベッドまで近づいてくる。


ーカタンー


そして、ベッドのサイドテーブルに何かを置いたような音がした。


マリアンヌがアンダーテイカーの姿を確認しようと重い瞼を一生懸命あけようとしたが、その時だった。


「(!!!)」


アンダーテイカーの冷たい手がマリアンヌの額に触れて、ヒンヤリとした感覚がはしった。



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