第1章 甘くて激しいバレンタイン♪
お仕置きという名の情事が終わり、抱きしめようとすると、マリアンヌは目元を真っ赤に染め、しゃくり上げながら泣いていた。
「(うっ…うぅ…うっ…)」
アンダーテイカーはほんの悪戯心のつもりでいたが、この様子だとこの「お仕置き」は本気でマリアンヌを怖がらせてしまった様だ。
こうなっては慌てるのはアンダーテイカーの方だ。
「あれ?えーと、マリアンヌ?ご、ごめんよ〜そこまで怖がらせるつもりは…」
あふれる涙をゴシゴシとこすりながらマリアンヌは泣き続けている。
そしておもむろにアンダーテイカーの手を取れば
──ごめんなさい…──
──ごめんなさい…──
──いいつけ破ってごめんなさい…──
と指で書いている。
完全にアンダーテイカーのやりすぎであった。
「ご、ごめんよ…お仕置きとは言ったけど、そこまで泣かせるつもりはなかったんだ…」
そこまで聞いてやっとマリアンヌの涙がピタリと止まった。
「おおかたあの執事くんに無理矢理つれていかれたんだよね〜?」
マリアンヌは大きく頷いてみせた。
「あの執事くんはあくま(悪魔)で執事だからね〜もう1人でついていってはダメよ〜」
マリアンヌにアンダーテイカーの言う“あくまで”の意味はよく分からなかったが、素直にイエスと返事をした。
その様子に満足すると、アンダーテイカーはマリアンヌの下着と服を整えてやると、椅子に座らせ一度キッチンから出ていった。
「(アンダーテイカーさん…どこにいったのかしら?)」
しかし、アンダーテイカーはすぐに戻ってきた。何やら大きな箱を2つ抱えている。
その箱をテーブルに置き、腰掛けているマリアンヌの前に膝をつき手を握ると、その手の甲に優しくキスをした。
「マリアンヌ、これは小生からのバレンタインのプレゼントだよ〜」
「(え?!)」
驚いたマリアンヌはテーブルに置かれた箱に目をやると、「ホプキンステーラー」と書かれている。
「開けてごら〜ん?」
高鳴る胸をおさえながら箱を開けるとその中には、薄いピンクのワンピースとチャコールグレーのコート、箱の隅には淡色のリボンやトーク帽が入っていた。
「(こ、これは?)」
マリアンヌはポカンとアンダーテイカーを見つめた。