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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第8章 死神との生活








「チッ、わかったわよ……ところで、本当に何もないの?」


しばしの沈黙の後、ニナは渋々承諾をした。






長い付き合いのよしみ…

自分とこの目の前の怪しい葬儀屋を繋ぐもの。

それは女王の番犬ファントムハイヴ家だ。





そんな風に言われてしまえば、ニナは無下にはできなくなってしまう。

ファントムハイヴ家に深い関わりを持つということとは、それ程までに重い物が付きまとうのだ。




「そうなんだよ。本当に何もない。それこそ、下着から髪留めに至るまで…全てね。」


「ったく…わかったわよ…メグ、オーガスタ、ちょっと雨の中悪いけど買い出しに行ってきて頂戴。」


「「かしこまりました。」」


ニナはアンダーテイカーとアレコレと確認しながらつらつらと買う物をメモに書き出した。


ヘアメイクに使うもの、女性用の石鹸やスリッパ、さらには生理用品やボディクリーム、香油に至るまでありとあらゆる物を書き出した。



「とりあえずはこんな物でいいかしら?下着やタイツはウチの店にあるからサイズを計って出してあげるわね。」



「そうだ、それとマリアンヌは体調が回復したら小生の仕事を手伝ってもらうことになっているんだ。仕立てる服はもちろん、帽子やリボンに靴、装飾品なんかも全て黒でお願いするよ〜」



「…わかったわ。」



するとニナはメジャーにファイルを脇に抱えると、試着室に目配せをした。



「マリアンヌ、彼女はニナ・ホプキンス。一流の仕立て屋だ。彼女に服を作ってもらうから試着室で採寸してもらっておいで〜」


裸足のままのマリアンヌをそっとおろすと、アンダーテイカーは最後に耳元で囁く。


「彼女のことは信用して大丈夫。代々小生と長い付き合いだからね?」


マリアンヌは振り向いて目を合わせると、無表情のままコクリと頷いた。











「マリアンヌ、初めまして。私はこのホプキンステーラーのオーナー、ニナ・ホプキンスよ。今日は宜しくね。」



試着室のカーテンを閉めると改めてニナは自己紹介をする。

マリアンヌは黙ってニナの目を見つめて視線で返事をした。



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