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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第7章 死神との出会い




「小生はね、死神さ……とは言っても離脱しちゃったから“元”死神。今は表向きには葬儀屋をしていて裏では情報屋としてひっそりと慎ましく暮らしているのさ〜。」



……死神?!

なんの冗談だ…

このアンダーテイカーという男はつまらない冗談を言って女を困らすのが趣味なのであろうか…



「(突然死神と言われても……信じられません……)」



当然だが少女は疑惑たっぷりの視線をアンダーテイカーに向ける。



「まぁ、そうだよね〜じゃあ、これで信じてもらえるかな〜?」



アンダーテイカーは帽子を放り投げ、前髪をかき上げると、妖しく光る黄緑色の燐光で少女を見つめた。



「(!!瞳が……黄緑に光ってる……?)」


そして背中に右手をまわすと、しのばせておいた卒塔婆をデスサイズの姿に変えて少女の目の前に見せてやった。


「これはデスサイズ。死神の鎌。これを使って死神の能力で君の過去を覗かせてもらったって訳さ。」


なんてことだ……


少女は我が目を疑ったが、今見たものは自身の目で見た紛れもない真実だ。



少女は驚愕のあまり、次の会話を続けることができなかった。










それでも何とか震える手をおさえてメモに字を書き綴る。


「(アンダーテイカーさん……死神である貴方は何故私なんかを助けたのですか?私の過去を見たのなら…私がどんな生まれでどんな事をさせられてきたかご存知ですよね…?)」





不貞の末に産まれた自分


喋ることのできない障害


不特定多数の男と交わる仕事を強制させられてた日々


傷だらけの身体


汚れた身体




そんな女を拾って何をするつもりなのだ。

少女はアンダーテイカーの考えている事がまったくわからなかった。




「小生は……大切なモノを失って…ひとりぼっちになってしまったんだ……」




「(え…?!)」



おどけたように弧を描いていた口元が急に真一文字になり、黄緑の燐光は少女にすがるような視線を向ける。


急に憂いを帯びた雰囲気に思わず少女の胸はドキンと高鳴る。この死神から放たれている妖艶なオーラはいったいなんなのだ。


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