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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第7章 死神との出会い





「君が森で倒れている所に、たまたま小生が通りかかったんだ。酷い傷も負っていたし、治療をして目覚めるまで待っていたんだよ。」



「(……………………)」



やはりこの男が助けてくれたようだ。

だが、なんの見返りも無しに人間が人助けなどするはずがない。この男は娼館に来ていた男達と同じ事を要求するのだろうか?


いったいこの男の目的は何だ?


聞きたいが何か書くものがなければ聞くこともできない。


少女がジェスチャーで紙とペンが欲しいと意思表示をしようとした時だった。


「はい。色々と聞きたい事があるんだろう?」



「(!?)」


この男はまだ何も自分の事を話してもいないのに紙とペンを差し出してきた。


自分が喋れない事は娼館にいる者と、客しか知らない。

だけど、こんな妙な格好の男に指名をされた事もない。何故客でもないのに自分の事を知っているのだ。




少女は顔をしかめながらペンを走らせた。



「(貴方は誰ですか…?)」



「小生のことかい?小生の名前はアンダーテイカーさ。」



小生?変わった一人称を使う男だ……



「(何故、私が喋れないことを知っているのですか?)」



「それはね、ちょっと見せてもらったからさ〜」



「(………!?)」



「君の過去を…ね?」



………過去?!


何故、この男は自分の過去など見ることができたのか?そんな事ができるなど信じられない。



「(あ、貴方は何者ですか…?人は、人の過去を見ることなんて…できません。)」



聞いてはいけないような質問に、心拍数は上がり、真冬にも関わらず、ジトリと変な汗が首筋を伝うのを感じる。


「それはね〜……」


ここで自分の正体を言ってしまったらこの少女は逃げていくだろうか。
せっかく運命的にめぐり会えた孤独な少女。

アンダーテイカーは手放したくはなかった。

しかし、ここを噓で取り繕っても、いずれは言わなくてはならないだろう。


此処は賭けにでるしかなかった。



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