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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第1章 甘くて激しいバレンタイン♪


この芳醇で濃厚な味わいのチョコレートはファントムハイヴ社の一級品だ。

今日マリアンヌが持ち合わせていた財布の中身では買えるものではない。それによく見ればこのキッチンに備わってない調理器具もあるではないか。

少し前からタウンハウスに滞在しているシエルの屋敷で貰ってきたものと見て間違いないだろう。



マリアンヌは嘘を吐かない。

いや、口がきけないためか嘘を吐くことができない。


表情を見れば、マリアンヌが昼間どこに行っていたのかなんて一目でわかったアンダーテイカーは、凍りつくマリアンヌの前に立って、顎を掴むと自分と目が合うように上を向かせた。


「小生のいいつけを破るなんて……お仕置きが必要かな〜?」


マリアンヌが何の考えも無しに言いつけを破るなどまず考えられない。
となると、大方あの害獣がマリアンヌをうまいように言いくるめたか。

マリアンヌが自分の為にプレゼントを用意してくれていたなど、この上ない極上のサプライズだが、お仕置きと乗じて軽く余興を楽しむのも悪くないだろう。


アンダーテイカーは反対の手で前髪をかき上げると、言いつけを破った愛しいマリアンヌを妖しくも美しい黄緑の瞳でじっと無言で見つめた。



アンダーテイカーさん…どうしよう…怒ってるの?



出会ってから今までアンダーテイカーを怒らせた事などなかったマリアンヌは、恐怖に身体を震わせた。
やっぱりあの時無理矢理にでも引き返せば良かったと盛大に後悔をする。



アンダーテイカーはダイニングテーブルまでジリジリとマリアンヌを追い詰めると、キッチンに置いてあったチョコレートを無造作においた。

「今日はバレンタインだからね、お仕置きも小生特製の甘いコースにしてあげようね〜、ほら、口を開けてごら〜ん。」



そう言うと、指につけたチョコをマリアンヌの口に入れて舐めさせ始めた。


「(ふ……ん……ん……)」


2本の指に絡め取られたチョコは1本、また1本と、マリアンヌの口に入っていく。

マリアンヌは舌先を使い、チロチロと丁寧に舐め取っていき、唾液と混ざった甘い液体を嚥下していく。


きっと自分を怒らせたと思っているのだろう。
少し震えながらも自分の言うことに黙って従うマリアンヌはいじらしくて心底可愛かった。



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