第6章 死神とスパイス
「ほう…執事君がロイヤルワラントをかけてカリーで勝負。面白いじゃないか。」
「(セバスチャンさん…)」
インドから来た神の右手を持つアグニと
悪魔で執事のセバスチャン
アグニと面識はないが、シエルの話を聞く限り人間離れした才能を持ってるようだ。
いったいどちらが勝つのかマリアンヌはまったく予想ができなかった。
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ウエストがライバル社を姑息な手段で出場できなくしたため、事実上品評会はウエストとファントムハイヴ社の対決と言っても過言ではなかった。
「(わっ!!この香りなんですか?!)」
「(えぇ!?お鍋にチョコレートですか?!)」
「(えーーー?!海老が青い!!)」
「(カリーパンっていったい!!)」
「イ〜ヒッヒッ、マリアンヌ、楽しんでるね〜!」
アンダーテイカーは、自身の手を取り目を見開きながら興奮しているマリアンヌに、連れてきた甲斐があったとニヤニヤ御満悦だ。
「さぁお待ちかね!!試食タイムだよ!!お好きなカリーを召し上がれ!」
そして品評会はメインイベントの試食タイムに入り、おおいに盛り上がった。
「マリアンヌはどのカリーが食べたいかな?」
「(ど、どのカリーも魅力的なのですが、振り袖を汚してしまったら大変なので、セバスチャンさんのカリーパンがいいです。)」
マリアンヌはファントムハイヴ社のカリーパンを受け取ると、目をキラキラさせながらペロリと平らげてしまった。
その後はヴィクトリア女王がお忍びで……というには程遠い登場で乱入をすると、自らの手でロイヤルワラントをセバスチャンに贈呈するという事態に会場は騒然となった。
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「マリアンヌ、初めてのカリーはどうだったかな?」
早々に会場を後にしていた2人はニナの店に向かって歩いていた。
「(はい、爽快な辛さがクセになり、すごく美味しかったです。)」
「??」
とても嬉しそうに答えていたマリアンヌだったが、少し様子がおかしいのにアンダーテイカーは気づくと、一旦歩くのをやめさせた。