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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第6章 死神とスパイス






「あの変態葬儀屋……💢」




ニナが手にしていたもの。


それは外した下着の上に巻く晒(さらし)だった。

日本に住んでいた過去もあり、振り袖の着付けにもこだわりのあるアンダーテイカーなら晒の用途が分からない筈などない。



それを分かっておきながらあえて使わず、可愛いマリアンヌの胸があらわになった状態で着付けた極めて変態的な行為にニナは怒りを覚えたが、もう出ていってしまったものは仕方がない。

再びイライラと目を釣り上げながらニナは試着室を片付けた。






──────────────




一方その頃、ニナの怒り狂っている事などまったく知らぬ2人はクリスタルパレスに到着し、その賑やかさを堪能していた。






「(キャア!!アンダーテイカーさん!あの大きな生き物はなんですか?!)」



「ヒッヒッ、アレは象という生き物さ。インドを代表するような動物だけど、インド以外にも住んでるよ〜」



「(そ、そうなんですか……あれだけ大きいと、ご飯を用意するのも大変ですね!!)」



初めて見るインドの文化に興奮気味のマリアンヌだ。



あちこちとまわり、ニナの言っていたカリーの品評会の会場に辿り着くと、意外な人物から声をかけられた。






「あれー??マリアンヌちゃんじゃなーい??」



「(え??)」



振り向くとそこには以前店で会った中国貿易会社の英国支店長の劉が、若い女と身体をくっつけながら座っていた。



「……だれかと思ったら窖(あなぐら)君か。君達もカリーの品評会に来たのかい?」



「窖くんはヒドイなぁ…まぁ、どちらかというと私達は出場者のスポンサーなんだけどね。ねぇ?藍猫?」



「……ん、スポンサー。」



劉の隣にはピタリと小柄な女がジッとマリアンヌを見つめていた。
マリアンヌに興味があるのだろうか?



「そうそう、彼女が前に言ってた情報屋さんにいた女の子のマリアンヌちゃん。やっぱり藍猫と同じくらいだね。」


すると藍猫はぴょんとマリアンヌの前に立ち手を出した。


「…ヨロシク。」


大きな瞳に猫の耳のように結われた髪がとても可愛い。マリアンヌは思わずその手を握ると一生懸命頷き、藍猫のてのひらに“こちらこそ”と書いた。





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