第6章 死神とスパイス
「マリアンヌ〜着物はね、下着は付けないんだよ。そのかわり、コレ。着物用の肌着の上からさらに長襦袢っていうを着るのさ。だから早く脱がないと、着せられないよ〜」
「(それ、ほ、本当なんですか!?)」
「小生の言うことが信じられないかい?」
下着を着用せずに服を着るなどそんなことあるのだろうか?マリアンヌはにわかに信じられなかったが、日本の文化なんて無知なため、アンダーテイカーの言葉を信じるしかなさそうだ。
「い、いえ…そういう訳では…」
マリアンヌは顔を真っ赤にしながらアンダーテイカーの前で生まれたままの姿になると、素直にその身を任せた。
「ヒッヒッ、いい子だよ〜」
満足そうに笑うと、アンダーテイカーは薄い肌着を後ろからかけて着付けを始めていった。
「はい、マリアンヌ、両腕を上げて。」
「(は、はい!)」
「締めるから苦しかったら合図しておくれ〜」
「(は、はい……うぅ…!!)」
「ここをもっていて。」
「(はい…)」
英国のドレスは下にコルセットを着用するが、マリアンヌは葬儀で正装をする時以外は割と楽な下着をつけていたため、貴族の女性の様にコルセットに慣れていなかった。
そのせいか、まだ帯を締めていないのに、腰紐や伊達締めを装着した当たりでかなり苦しかった。
それに何枚も何通りもの行程があり、目がまわりそうだ。マリアンヌは日本人が毎日こんな物を着ているのかと思うと少しだけ気の毒に思った。
「(う……うぅ……)」
「??、マリアンヌ?苦しいかい?少し緩めようか。着崩れたら後で小生が直してあげるから大丈夫だよ。」
少し顔色が悪くなったマリアンヌに気づくと、アンダーテイカーはすぐに腰紐を緩くしてやった。
「(…アンダーテイカーさん…日本の女性は毎日こんなに苦しい物を着ているんですか??)」
マリアンヌの純粋な問にアンダーテイカーは思わずクスリと笑うと、最後の帯を結びながら答えてやった。