第6章 死神とスパイス
──数日後──
「さぁ、着いたよマリアンヌ。」
早速ニナの店に遊びに行く連絡を入れたアンダーテイカーだったが、ニナの“マリアンヌだけで”という忠告は無視したようで、今回も2人揃ってニナの店の前に到着をした。
男嫌いのニナには少し申し訳ないと思ったマリアンヌだったが、やはりお洒落をした姿はすぐにでも愛する人に見てもらいたい。
今回もきっと波乱が起こるだろうと思いながらドアをノックしようとしたが、マリアンヌのオーラにいち早く気づいたのか、ドアは自動的に開き、いつものテンションでニナが現れた。
「(あ、ニナさん。)」
「いらっしゃいマリアンヌ♡もう首を長くして待っていてよ。さぁ早く入って!日本から取り寄せた着物を見てちょうだい!」
──バタン──
マリアンヌの肩に手を回しエスコートする様に店に招き入れると、ニナは実にスマートにアンダーテイカーを無視して扉を閉めてしまった。
「(アンダーテイカーさん……)」
毎度毎度、ニナはアンダーテイカーを素直に店に入れる気はないらしい。
「ヒッヒッヒッ、本当にニナは相変わらずだねぇ。」
まったく懲りる様子のないアンダーテイカーは自分で扉を開けると、スタスタと着物が置かれているカウンターまで行き、着物の柄を見ようとした。
「ちょっと!変態葬儀屋!何しにきたのよ!!アンタは招待した覚えないのよ!!」
腕を組みメラメラと怒りの炎を纏ったニナはなんの遠慮もなくその怒りをアンダーテイカーにぶつけた。
「ほ〜くわばらくわばら、小生だってマリアンヌの着物姿が見たくてね。一緒に来るのは当然だろう?」
何の悪びれもなく言い返したのが逆に癪に障ったのだろう。
ニナの怒りはさらにヒートアップだ。
しかし…
「(ニナさんごめんなさい…私が一緒に来てもらいたくて…着物の資料を見せてもらったらあまりにも綺麗だったので、アンダーテイカーさんにも見てもらいたかったんです…)」
「マリアンヌ…」
そうまで言われてしまうと、さすがのニナも返す言葉がなかった。