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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第1章 甘くて激しいバレンタイン♪




オーブンからだし型からはずすと、初めての割には中々な出来栄えだった。


その上にマリアンヌは溶かしたホワイトチョコで器用に文字を書いていく。





──you are my everything ──

(あなたは私の全てです)


……全て。そんな言葉1つでは言い表せないくらい、マリアンヌの中でのアンダーテイカーの存在は大きかった。


文字にしてしまうとちょっと照れくさいが、これはマリアンヌの本心だ。自分の声で伝えられないのがもどかしいところだが仕方ない。

マリアンヌはまずまずの出来に満足すると、一旦冷蔵庫にしまった。


一通り作り終えて安心したのは良いが、キッチンは見事にグチャグチャだった。
普段の食事の準備と、アンダーテイカー好物の骨型クッキーはマリアンヌが調理を担当していたため、洗い物をしつつ効率よくできていたが、今回のガトーショコラ作りは、まったく初めてのチャレンジだったため、まわりを見る余裕などなかった。

チョコを溶かしたボールの洗い物などはちょっと骨が折れそうだ。
しかしよくよくボールをみると、生クリームとの湯煎で溶かしたビターチョコとホワイトチョコが結構な量余ってしまってる。

ファントムハイヴ社の高級品を捨ててしまうのは勿体無いなと悩んでいたら、ふとダイニングテーブルのカゴに入れてある骨型クッキーが目に入った。

「(そうだ、これに塗ってチョコクッキーにしよう!)」

マリアンヌはテーブルからクッキーのカゴを持ってくると、ハケを出してチョコを塗る準備を始めた。

しかし、あろう事か、店の外から馬車が止まった様な音が聞こえてきた。

「(!?)」

まさか、アンダーテイカーさん?

まもなく夕刻といえば夕刻なのだが、いつもアンダーテイカーが言う夕刻とはもう少し遅い時間になる事が常だったため、マリアンヌは少し焦った。

せっかくのバレンタインなのだから少しはサプライズ的に渡したかったのだが、このキッチンの様子を見られては全てがバレてしまい台無しだ。

慌てふためき右往左往するが、そんなことしている間にも、店の扉を開けたような音がかすかに聞こえた。



やはり今の馬車にはアンダーテイカーが乗っていたのだ。

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