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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第1章 甘くて激しいバレンタイン♪


「葬儀屋!!なんでマリアンヌがいないのよ!!」

「え〜?小生連れてくるなんて言ってなかったけどなぁ?」

アンダーテイカーはとぼけた様に空を見上げながら話をはぐらかす。

「いなきゃ困るでしょ?!あんな急で無茶な注文よこしといて!!ちゃんとサイズがあってるか確認したかったのよ!!」

「あ〜、そういうことか、それなら大丈夫さ〜。」

「あん?!何が大丈夫なのよ?!」

腕を組み、見下すような視線はもはや、鋭利な刃物のようにアンダーテイカーを攻撃的に突き刺した。

しかし、そんな視線に怖気づくことなく、アンダーテイカーは口元をからクスッと悪い笑みを溢すと、その女の耳元で囁いた。
















「毎晩抱いてるからそれくらい分かるさ。」














「………………!!!」


「ヒッヒッヒッ」


女は一瞬言葉を失ったように黙ってしまったが、瞬く間に顔は赤くなり、我を失い怒り狂ってしまった。


「ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!」


「まぁ、抱いてるのは夜だけじゃないんだけどね〜」


長い袖に隠れている両手をヒラヒラと振ってみせると、そのふざけた動きは更に女の怒りを煽ってしまう。


「キーーーーーー!!こんにゃろ!変態!鬼畜!お前だけは二度と来んな!」


騒ぎを聞きつけた店の従業員が慌てて店主を落ち着かせようとなだめ始めるが、なかなか怒りはおさまらない。


「キィィィ!!さっさと帰れ!!」


女はアンダーテイカーが注文していたあるものを突きつけると乱暴に扉を閉めてしまった。


「お得意様にあんなに怒るなんて酷い話だね〜」


アンダーテイカーはキヒヒと変な笑いをすると、再び馬車に乗り、自身の店まで戻っていった。



───────────────



一方マリアンヌは店に着くと、一目散にキッチンまで走り、エプロンと三角巾をつけるとすぐに調理を開始した。

ガトーショコラはこそまで難しいものではない。

しかしチョコを刻んだり

卵白を泡立ててメレンゲを作ったり

小麦粉をふるったり

バターや生クリームも湯せんにかけたり

細々と工程があるため、どうしても時間がかかってしまう。アンダーテイカーには内緒で古本屋から入手したお菓子作りの本とにらめっこをしながら、マリアンヌはなんとか焼き上げた。



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