第5章 死神は御満悦
「……コレだね。」
地下の資料室の扉をあけると、そこは広くて大量の書物が収められている場所なのだが、目的の物は割とすぐに見つかった。
アンダーテイカーが手にしたのは鳥獣の生体に関する分厚い資料本だ。
本についている埃を払いながら店まで戻ると、いつものカウンターに腰かけ目的のページを探す。
時折横に置かれている鳩の様子をみながらペラペラとページをめくると、鳥の看護について書かれた箇所を見つけた。
「あったあった…」
やはり内容はアンダーテイカーの記憶通りだった。
「器具は店にあるもので大丈夫そうだね〜」
一通りの手順を頭に入れると、アンダーテイカーは地下まで必要な器具を取りに行きマリアンヌの後を急いで追いかけようとしたが、扉に手を掛けたその時だった。
──カチャ──
「?!」
自分があけるよりも先に扉が開いたかと思ったらマリアンヌが息を上げて入ってきた。
「(あ、あの!アンダーテイカーさん!只今戻りました!見てください。コレ!!)」
「これは……」
マリアンヌの持っていたカゴの中には水で溶いて使う流動食と、元気になってから与える固形の餌が入っていた。
「(雑貨屋のご主人に話をしたらレース鳩を飼っている方がお知り合いにいらっしゃって、ご自宅まで案内してくれたんです。そしたら色々と分けてもらえて…売ってる場所も教えて貰えました!とりあえず、これでなんとかなりませんか?)」
「なんとかなるもなにも、小生はコレが欲しかったのさ。マリアンヌ、とっても助かったよ〜」
その言葉を聞いたマリアンヌはホッと胸をなでおろして安堵の表情を見せた。
「でもマリアンヌ、安心するのはまだ早いよ。鳥は基礎体温が高いから、すぐにその流動食を使って強制給餌をしないと体温が維持できなくて死んでしまう。急いでこの粉をぬるま湯で溶いて、あと、お湯を沸かしてきておくれ。道具は揃えてあるからすぐに始めよう。」
「(は、はい!)」
マリアンヌはアンダーテイカーから白い乳鉢を受け取ると、急いでキッチンへと向かって行った。