第5章 死神は御満悦
タオルで巻いた湯たんぽの上にカゴを乗せてやると、ひとまず応急処置は完了となるが、まだまだ安心はできなかった。
アンダーテイカーはどうしたものかと首をかしげて考え込む。
「(アンダーテイカーさん?どうしましたか?)」
「この子はまだ回復してないから普通のご飯は食べられない。口から直接素嚢(そのう)に流動食を入れてやらないと体力を失って死んでしまう。でも今ここには鳥用の流動食はないんだ…」
「(そうなんですか…?)」
「どこに売ってるかも分からないから探しに行かないとならないんだけど、小生も鳥の看病は初めてだから、ちょっと地下の資料室を探して調べないとならない。時間もないし、どうしたものかな……」
すると、マリアンヌがアンダーテイカーの両腕を掴むと、真っ直ぐな目で見上げてきた。
「(アンダーテイカーさん!私が探してきます!なので、アンダーテイカーさんは資料を探して調べておいて下さい!)」
「え?マリアンヌがかい?」
「(確か雑貨屋さんのご主人、お知り合いが多かったので、鳥を飼ってる人を教えてくれるかもしれません。とにかく私行ってきます!)」
マリアンヌはせかせかと上着のケープを羽織って出かける準備を始めたが、1人で出歩かせるのは少々心配だった。
「マリアンヌ、待っておくれ。」
今度腕を掴んだのはアンダーテイカーだ。
「マリアンヌはろくに食事もしていないし貧血を起こしている。急に走ったりしたら倒れてしまうよ。小生は心配だから一人で外に出ないでおくれ。」
しかしマリアンヌは首を縦には振らず大丈夫ですと店を飛び出して行ってしまった。
「もう〜困ったお姫様だね…」
アンダーテイカーはすぐに後を追えるように、地下室の資料室まで急いだ。