第5章 死神は御満悦
持っていた買い物カゴに入れてやろうとしているマリアンヌに、アンダーテイカーは肩にかけてたグレーのストールを外すと手渡してやった。
「マリアンヌ、これで包んでおあげ。なるべく風に当てない方がいい。」
「(あ、ありがとうございます!!急ぎましょう!)」
ストールで包んでカゴに入れるとマリアンヌは大事そうに抱え、2人は店まで戻った。
「さて…どうしようかね〜」
店に戻り、いつもは死体の処置をしている地下室の処置台に怪我をした鳩を置く。
グッタリと虫の息だが、アンダーテイカーが患部を診ようとすると、力を振り絞って暴れてしてしまった。
これでは無駄に消耗させてしまう。
ひとまず糖液を皮下に注射をしてから考える。
「う〜ん…困ったねぇ。マリアンヌ、1番細いシリンジに針をさして局所麻酔の用意をしておくれ。」
「(は、はい!)」
下手に麻酔を使ってそのまま目覚めなければ処置に失敗してしまう。
アンダーテイカーはマリアンヌから注射器を受け取ると、患部に少しずつ、反応をみながら薬液を注入していった。
すると、半分ほど注入したあたりでおとなしくなる。
意識もあるようだ。
「できたら縫合はしたくないんだけど、どんな傷かな?………ん〜、これはおそらく猫にでも襲われたかな?」
鳩の翼には爪で襲われたような傷が数か所があった。
「マリアンヌ、縫合無しでやってみよう。取り敢えず患部の消毒と、化膿止めの軟膏だ。それで包帯を巻いてあげよう。」
「(はい!)」
マリアンヌは言われた通りのものを用意すると、すぐに手渡し処置の補佐をした。
「よし、これでひとまず傷口は大丈夫かな?一応抗生剤も打っておこうか。」
アンダーテイカーは薬品棚から抗生剤を手に取ると、患部に注射し、マリアンヌに手渡した。
マリアンヌは先程のカゴに新しいタオルを引いてやると、優しく包んで入れてやった。
「マリアンヌ、あとは湯たんぽを用意してやるといい。
怪我や病気をした鳥はとにかく冷やしてはいけないんだ。」
「(わかりました!)」
すると、マリアンヌは大急ぎで倉庫まで湯たんぽを探しに行った。