第2章 escape
「ハチャ〜〜ホチャ〜〜!こっちだ子供たち〜〜!!逃げ出したかったら走れ〜!!」
「はりきってんのねチョッパー!」
「オレはサンジからお前らを任されたんだよホチョ〜〜!男一匹頑張るんだよおれはハチャ〜〜!!」
「でも何処に逃げればいいのか…。」
「それはおめーがなんとかしてくれ!!ワチャ〜!!」
「あの…どうしてみんなはここにいたのですか?」
「私たちは病気だから…1年治療が必要だって言われたの。」
「1年で…病気が治るって?なんの病気だ?みんな病人には見えねェけど…!!」
達は走りながらも子どもたちと話を続けた。ずっと走っているせいか子供たちは勿論、チョッパーやナミも若干の疲労の色が見え始める。
「お父さんとお母さんから病気を治す様頼まれた人達に…ここに連れてこられたんだ!」
「じゃあここへは…両親が行ってきなさいって?」
「ううん、家の外でその人たちに突然そう言われてそのままここへ…お父さんやお母さんに病気が移っちゃいけないからって『行ってきます』も言えなかった…。」
そう話す子供は眉を下げて俯いた。ナミとの中で立てていた仮説が確信に変わった。ここはやはり何か病院等ではなく、誘拐された子供たちなのであると。
「親に一目も会えずに知らない奴らに連れて来られた!?それ…もしかして…よっぽどの大病かな!?」
「あんたアホなの!?」
「約束の1年も過ぎてるみたいですし、そういうわけでは無いでしょうね…。」
「チョッパー後で診てあげなさいよ、診ればわかる。」
「うん、分かった!」
やがて前方に扉が見えて来る。しかしそこは鍵が掛けられており解除にはどうやらパスワードが必要らしい。1度立ち止まると、チョッパーは蹄でロック部分を思いきり叩いた。
「ホアチャー!」
「開いた!ハチャ〜〜!!」
「わーすごいたぬきちゃーん!」
「パワフルになったわね!」
「エヘへ♡タヌキじゃねェよ!」
「でも今タヌキみたいよ。」
「本当だ!!」
ピピッ、と機械音が鳴りロック部分は小さな爆発を起こして壊れた。扉が開くとまるで冬の外気の如くひんやりとした風が肌を撫でる。肌の露出の多いナミとは自分の身体を摩った。