第1章 叶わぬ想いを胸に
深くかぶったフードを取ると、薄暗い部屋でも分かる程の見事な金髪と蒼い瞳であった。
髪は胸のあたりまでの長さがあり暗がりならば、なんとなくであるが、クレアと似てるといえる顔立ちだ。
次にエルヴィンは長いマントの紐を解く。
スルリとマントは床に落ち、ネグリジェの様な薄い下着をまとった姿が現れた。
背丈はクレアより高く、また身体付きも年相応に大人びた女の身体であった。
今朝エルヴィンがクレアを抱き起こした時に感じた身体は折れてしまいそうな程華奢な身体付きだった。
今エルヴィンが抱きたいのはそんな女だ。
彼女の体型はクレアと比べると少し大人び過ぎていた。
しかしそれを言ってしまったらいくらなんでも注文のつけ過ぎであろう。
「あの…お気に召して頂けましたでしょうか?お気に召さなければおっしゃって下さい。すぐに違う者を……」
「いや、君でいい…」
エルヴィンはクレアと顔立ちの似ているリンネを買うことにした。
「ありがとうございます。ではエルヴィン様…お召し物を…」
「違う……」
リンネが腕を伸ばし、エルヴィンの服を脱がせようとすると、その手を掴まれてしまった。
「エルヴィン様?」
「私のことは“団長”と呼んでくれ。そして、今から君は私の部下だ。そのように振る舞ってくれ、いいかい?」
「団長?でございますか?……かしこまりました、団長。」
ニコリと微笑むと、リンネはシャワー室までエルヴィンを案内しようとしたが、強い力でベッドに押し倒されてしまった。
──ドサッ──
「あっ……エル…団長?!」
「すまないが、すぐに欲しいんだ。シャワーはあとにしてくれ…」
すると、エルヴィンはリンネの返事も待たずに唇を押し付けた。
「ん…ん…」
性急に舌をねじ込むと、リンネもエルヴィンの深い口づけに応えようと健気に舌を絡ませる。
2人きりの空間にはお互いの唾液の混じり合う音が響いた。
「ふぅ……ぅ……はぁ……」
苦しそうな息づかいでハッとなり唇を離すと、リンネは蒼い大きな瞳を潤ませながらエルヴィンを見つめた。
口の端からは溢れてしまった唾液が一筋の雫となって頬を伝っている。