第2章 土曜日
「やっぱり美咲の家に泊まっていい?」
「えっ?」
美咲の驚いた声に少し体が萎縮した。
「でも仕事は?」
「早起きして仕事場に直行すれば十分間に合うよ。」
自分でも言い訳がましい事を言っていると思った。
「あたしファミレス行っちゃいますけど。」
「待ってる。」
「そんな、悪いですよ。」
「帰る方がヤダ。」
美咲は困ったように黙ってしまった。
「俺に泊まられると嫌?」
だとしたらすごく悲しい。
「嫌じゃないけど・・・。」
歯切れの悪い言葉に胸が痛んだ。
信号が赤になった。美咲の家はすぐそこ。
「まだ一緒にいたい。」
ハンドルから手を離して美咲の手を握った。
「お願い。」
ぎゅっと握るとぎゅっと握り返された。
「・・・うん。」
声が小さかったのはきっと照れているからという事にしておいた。