第2章 土曜日
美咲の部屋に帰って来た。キッチンからは昨日の料理の匂いが少し漂っていた。
「お風呂入っててもいいですよ。」
鏡を見て身支度を整えながら美咲が気遣ってくれた。
また俺のために自分の気持ちを押し殺してるのかな。
今の俺、うざったい奴だよなぁ。
本当は先輩とゆっくりデートがしたかった?それとも俺に帰って欲しかった?
でも俺は、その我慢に甘えちゃうぐらいガキだから。
「美咲と一緒にお風呂に入りたーい。」
「・・・相当眠いんですね?」
困った子ね、と言わんばかりに笑う美咲。
俺に甘えて来る美咲も好きだけど、こうやってお母さんみたいな美咲も大好き。
「でももしかしたら帰って来るまでに寝てるかも。」
「いいですよ。起こしたらごめんなさい。」
「むしろ叩き起こして。」
「はいはい。」
美咲は口紅を塗り直すと、大人っぽく綺麗な顔になって振り向いて、子供をあやすように俺の頭を撫でた。
「なるべく早く帰ってきますね。」
「ありがとう。」
そのままハグする。美咲の匂い。料理なんかよりずっといい匂い。
先輩の所に行かせたく無いな。
眠いのもあってムラムラしてきた。