第2章 土曜日
時間もある事だし、下道でのんびり帰ろう。
ついでに美味しそうなご飯屋さんがあったら、晩飯も食っていこう。
そんな感じで車は制限速度をしっかり守って安全運転で進んでいく。
まだデートを終わらせたくないだけ、なんて女々しい感情はひた隠しにして。
「ご飯美味しかったですねー。」
「メキシコ料理っていいね。美咲のが特によかった。」
「へっへーん。あたし、選ぶのに外れが無い事で定評があるんですよー。」
くだらない話をして盛り上がる車内。こういう何気ない時間が一番愛おしい。
穏やかな気持ちで笑い合って、心が満たされて行く感覚。
あぁ、なんか、おなかも満たされたからか眠くなって来た。
「寝ないでくださいよ!?」
美咲は慌てた様子で俺の肩を叩く。
そりゃあ運転中に寝たら大事故だからな。俺だってまだ死にたく無い。
でもなぁ。ここで美咲もろとも死んだら、美咲はずーっと俺のものなのかなぁ。
・・・相当眠いんだな、こりゃ。重症だ。