第2章 土曜日
美咲を抱きしめている間は、海を見ている時みたいに落ち着く。
美咲とキスしている間は、一番星みたいに明るい気持ちになれる。
何回も何回も唇を甘噛みする。舌を吸い出してみる。指で耳をくすぐってやる。
「んーっ!」
大きい声をあげちゃって、そんな可愛い・・・いててっ!何だよ?
美咲は俺を押しのけて後ろに下がってしまった。
「もう、大貴さん・・・。」
せわしなく窓の外を見渡す美咲。
「誰かに見られてたらどうするんですか!」
恥ずかしい!と美咲はブランケットにまた顔をうずめて・・・いや隠してしまった。
俺が見た限り、外にはこっちを見ている人とか、見えそうな距離にいる人はいないように見えるんだけど。
つまんないな。人の目なんて気にして逃げたりしないでよ。
ほら、もっと一緒に気持ちよくなろう?
「いいじゃん。見られたって。」
俺は美咲に詰め寄って顔を隠すブランケットをひっぺがした。
「えっ・・・あの・・・。」
「むしろ見せつけて行こうよ。」
両手で美咲の顔を包み、おでこを合わせてその瞳を見つめる。
月の見える海辺でこんなにいいムードなんだ。見ちゃった人だって「しゃーねーな!」って許してくれるよ、きっと。
「後ろのお母様だって笑ってたじゃん?」
「・・・もう。」
美咲がにっこり笑ったのを確認して、俺はその後頭部に手を添えた。