第2章 土曜日
「自分の匂いの事を言われると、すっごくくすぐったくなるよね。」
「ですよね。やっぱり恥ずかしいですよ。」
自分が言われたら恥ずかしいのに俺の匂いの話はするのか。ずるい奴だ。
でもこうやってかいでくれてるって事は、俺の匂いを求めてくれてるって事だから。
くすぐったくても、恥ずかしくても、嬉しいもんは嬉しい。
がばっ。
俺は遠慮なく美咲を抱きしめた。
「あったかい?」
「・・・うん。」
回された腕が俺の服をぎゅっと掴む。布越しでもお互いのぬくもりは十分伝わった。
「へへっ。大貴さんの匂いもしますー。」
「笑うなよー。」
「だってー、いい匂いなんだもん。」
俺の首筋あたりに顔を押し付けて匂いをかいでいるのがくすぐったかった。
あぁでも、俺も昨日こんな事したっけな。
だとしたら昨日の美咲も今の俺みたいに、くすぐったくてもどこか幸せな気分だったのかな。
体を離してお互いを見つめ合う。
可愛い笑顔が徐々にしっとりした表情に変わって行く。
こうなったらする事は1つだ。
ブランケットより柔らかいその唇を、ついばむようにいただいた。