第2章 土曜日
車に戻ってのんびりと海を眺める。
広がる水平線と、空に浮かぶ月。フロントガラスによって切り取られた風景は、さながら絵画のようだった。
「あっ。」
車内に置いていたブランケットにくるまった美咲が空を指差す。
「一番星。」
見ると、月の下にキラキラと輝く星があった。
「すっかり夜ですねー。」
「もう1日が経ったのか。」
気付けば空の赤みはすっかり紺に飲み込まれていた。一番星も見えるわけだ。
・・・もう、1日が経ったのか。
「寒い?」
俺が尋ねると、美咲はブランケットをたくし上げて顔をうずめた。
「だいぶあったまりました。」
「そりゃよかった。」
美咲は突然くすくす笑った。
「どうした?」
「これ、もふもふして気持ちいいんですけど、あんまり大貴さんの匂いがしないなって。」
・・・昨日の俺みたいな事を考えてるんだな。