第2章 土曜日
約束通りクレープを買ってあげて、俺達は観覧車に乗り込んだ。
「大貴さんもどうぞ。」
「ありがとう。」
甘いクレープを頬張りながら、澄み渡った景色を堪能する。
すっかりご機嫌の美咲は、身を乗り出さんばかりに景色を楽しんでいた。どうやら高さは大丈夫らしい。
窓からは、この遊園地のある公園から、近くのショッピングモールから、少し遠くの海まで一望出来た。
「後で海を見に行こうか。」
「うん!」
嬉しそうに笑う美咲に、俺もつられて笑顔になった。
「美咲ってさ。」
「ん?」
「最近敬語が抜けて来たね。」
美咲はハッとなって口元を手で隠す。
「ごめんなさい。嫌でした?」
「ううん、全然。」
まだ言葉遣いも満足に出来てないような大学時代に出会ったんだ。少しぐらいフランクな話し方にもなるだろう。
むしろ3年も深い付き合いをしていて、敬語が抜けない方がおかしいんじゃないだろうか。
「社会人になって言葉遣いが丁寧になったけど、最近また抜けて来た気がする。」