第2章 土曜日
「あの時の俺は馬鹿だったと思うんだよね。」
車を運転しながら、俺は独り言のように呟いた。
「別れなくていいなんて、そんなの。辛い思いするのは見えていたのに。」
あの頃は「今頃あいつと・・・。」と思うと辛くて辛くて、ヤケ酒して吐いたりもしょっちゅうしていた。
あんな思いはもう2度としたくない。
「だから今度本気で美咲を好きになったら。」
今の彼氏との別れを迫る。
もう2番目に甘んじてなんかいられない。
車内の空気が凍った。美咲は苦しそうに顔を伏せた。
あぁ、しまった。せっかくのデートなのに空気を悪くしてしまった。
タイミングがいいのか悪いのか、国道沿いのファミレスが見えて来た。俺は明るい声を上げる。
「ほら、ご飯食べよう?」
そうだ、今日は恋人を模したデートなんだから。
駐車場に車を停め、エンジンを切ったその時。
とんっ。
肩に重みと、女の子の香り。