第2章 土曜日
女の子に縁の無い俺が美咲に惚れてしまうのは、至極当然の話であり避けようも無かった。
問題だったのは、美咲には彼氏がいて、しかもそいつは俺の友達だった事。
そして何より、美咲が俺にとって初恋であった事。
それ故に俺は美咲に妄信的なほど惚れてしまっていた。
ある日、俺の家に来た美咲にキスした。
美咲は恥ずかしがるばかりで、特別拒絶は示さなかった。
「あいつと別れなくていい。浮気相手でいいから。」
優柔不断で優しい彼女は、抱き締め震える俺を受け入れてしまった。
そしてそのまま、俺達は体の関係を続けて行った。
関係は半年ほど続き、美咲は2人の間で揺れているように見えた。
こう言っては何だけど、あいつには勝てると思っていた。
勝算はあった。あとはゆっくり待つ。焦らない。焦らない。
いつか美咲を俺だけのものにして、恋人として堂々と外を歩くんだ。
しかしメールにより露呈された浮気は、「殴り合い」という粛正で終止符を打つ事となった。