第1章 新たな伝説の始まり
「此処で合っているのか………………」
「その筈ですが」
想像していた一軒家とは似ても似つかないものだった。
なんというか、もう、凄い豪邸で御屋敷だった。
ここに留まっていても仕方が無い。
中原幹部と視線を合わせ、恐る恐る敷地内に足を踏み入れる。
扉を開け、声を掛けてみる。
「お邪魔します…」
返事はない。
大理石で出来た玄関から廊下へ伸びるレッドカーペットのような長く紅い絨毯を辿っていくと、リビングらしき場所に出た。
「広すぎでしょ…」
と呟いてから食卓と思しきテーブルに紙切れが見えて覗いてみる。
«二人とも無事に辿り着けたようで何よりだよ。
気に入って貰えたかね?
家賃光熱費等はこちらが全て負担する。
君達は、食費のみの負担で結構。
地下には中也君の好きなワインセラーがある。
好きに使ってくれ給え。
では、〝蒼天〟に乾杯。 森»
という内容だったので、どうやらここで間違いないようだ。