第1章 新たな伝説の始まり
「………ワイン、お好きなんですか」
「まァな。色々あるぜ。後で飲むか」
「是非」
なんて言ってみるが実はお酒というものは口にしたことがない。
「色々見てみようぜ。この家、相当広いだろ」
「そうですね」
「____手前、敬語外せないのか?」
「へ?や、外せます」
突然の問い掛けに間抜けな声が出てしまう。
「じゃあ外せ。これから相棒になるッてのに敬語じゃ気持ち悪りィ」
それもそうか。
私たちは相棒____〝蒼天〟。
「ん、じゃあ、宜しく。中也」
「あァ。宜しくな、」
屈託のない笑顔で笑い掛けられ、一瞬胸が高鳴る。
それに驚き、気持ち悪いなぁと自嘲気味に笑う。
そこからは中也の提案に乗って、家中を見て回った。
ジャグジー付きのお風呂、無駄に大きい洗面所にトイレ、最新型のキッチンに冷蔵庫。
ほんの一部に過ぎないのだが、なんでも大きく最新型な家だった。
しかし、一つ問題が。
「なんでベッドが一つしかねェんだよ………」
と頭を抱える中也。
そう、この無駄に大きい家何故か大きなダブルベッド一つしかない。
二人で寝ても大きすぎるだろうが…………。
「私がソファで寝ようか」
「いや、手前は女なんだからベッドでちゃんと寝ろ」
「そういうの関係ないから、ね」
譲り合う私の前にはらりと、一枚の紙切れが落ちてくる。
«二人で仲良くベッドで寝ること»
二人の間に気まずく長い沈黙が落ち、破やれたのは大分後のこととなる。