第1章 新たな伝説の始まり
「もぉ…………」
携帯を取り出して、連絡先を漁る。
広津の文字を探して、決定釦を押す。
数回コールが鳴った後、電話は切られる。
«おかけになった電話番号は現在使用されていません。»
「…上司に新しい連絡先も教えないのね」
仕方なく、同じく黒蜥蜴の立原の方に電話を掛ける。
今度はコールが三回程鳴った後、電話が繋がる。
「あれ、さん珍しいですね。緊急ですか?」
「いや。明日、急用で休むことになったから一応連絡しておこうかと。あと広津の連絡先おしえて」
「わかりました。てか、普通は芥川さんに連絡入れるもんじゃないんですか?」
「芥川の連絡先知らないのよ」
「俺も知りません。で、爺さんの連絡先はーっと」
用件を伝え、広津の連絡先をメモして通話を切る。
私は首領不在時の遊撃隊の指揮を任されている。
その下につく黒蜥蜴とも少なからず関わりはあるし、偶に任務を共にすることもある。
寧ろ、遊撃隊よりも黒蜥蜴と絡むことの方が多いのだが。
「早く片付けて帰ろ……………」
デスクの上に無造作に置かれた書類を手に取って、一人書類と睨めっこを再開した。