第3章 自覚と嫉妬
目を覚ますと、隣に中也は居なかった。
昨日____どうしたんだっけ。
ワインで酔ってベッドに運んで貰って____。
その後のことを思い出して、顔が燃えるように熱くなる。
私なんてことしたの……………………。
ベッドで一人青ざめる。
立ち上がって、中也のいるリビングに向かう。
「中也!」
「おや?」
そこには、中也だけじゃなく中也の元相棒太宰治の姿があった。
「君は____ちゃんだったかな?」
「はい…………」
覚えられていることに驚くが表には出さない。
彼が幹部として活躍していた時、私はただの構成員だったのだ。
「中也に女……………どうやって脅したんだい?」
「脅してねェしは相棒だ」
「そうなのかい?なら私が彼女と心中しても文句はないね」
「駄目に決まってんだろ」
「えー?ところで、中也?私はぁ、客人だよ?」
太宰さんは笑顔で言う。
「お茶の一つも出さないのかい?」
「ッち」
態と太宰さんに聞こえるように舌打ちをした中也がキッチンへ入っていく。
中也にとって招かれざる客であることは間違いないが、一応客人を前にして寝巻きは失礼かな。
「ちゃんはこっち」
「でも着替えないと」
「いいよいいよ。それくらい楽な恰好の方が」
太宰さんに腕を手を引かれて、ソファに座る。
太宰さんと並んでソファに座るといきなり顔を急接近させてくる。
「あの」
「綺麗な顔だね、ちゃん」
私の髪を撫で、笑う。
「あ、ありがとうございます…?」
「是非治さんと呼んでくれ給え」
「いや、それは………ひゃ」
唐突に耳に生暖かい風が吹き、腑抜けた声をあげる。