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【文豪ストレイドッグス】蒼天の嗤う頃に

第3章 自覚と嫉妬


「ふふ、君は耳が弱いタイプの女性なのかな。では、こちらどうかな」

太腿に置かれた太宰さんの手が身体のラインをなぞりながら、Tシャツの中に侵入しようとしてくる。

「ちょ、どこ触ろうと」

慌てて抑えるが、もう片方の手で制される。

と、そこで今まで感じたことない程大きな殺気が背後で膨れ上がるのを感じた。

気配からして中也だとわかっていても、警戒してしまうほどの殺気。

そして豪速の拳が飛んでくるが太宰さんはそれを軽々と避ける。

「ちょっとした冗談じゃないか」

「ぶっ殺すぞ手前」

「やってみ給えよ」

太宰さんは余裕の笑みで、中也は瞳に殺意を宿したまま睨み合う。

予想以上に険悪だ……

混ぜるな危険、とはまさにこのことだろう。

やがてどちらともなく睨み合いをやめると中也は私の空いている方の隣へ座る。

この険悪な二人に挟まれるの嫌なんだけど、と心の中で叫ぶ。

中也が淹れたお茶を飲んだ太宰さんは驚いたように言う。

「中也が淹れたにしては美味しいじゃないか」

「首領に貰った茶葉使ってんだよ」

「ああ、だからか」

……………………………早く帰ってくれないかな、太宰さん。

いろんな意味で心臓が持たない。

「うふふ、楽しいねちゃん」

「何がですか…」

「中也を揶揄うの。ちゃんがいるからかいつもより大人しいし」

これで大人しいんだ、という意味合いを込めて苦笑する。

この二人が本気で喧嘩した暁には横浜は滅んでしまうのではないかと連想する。
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