【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第4章 月島軍曹1
火鉢の炭が焼ける静かな音がする。
北の大地の夜はまだまだ寒いが、情人の肌が温かいため、そこまで寒いとは思わなかった。
それよりも――。
「月島、さん……はや、く……」
「落ち着いて下さい、梢さん。大丈夫ですから」
月島さんは腹を据えたようだった。
でも未だに度を超した感じではない。
乱れる私をなだめつつ、私の『下』を指でゆっくりと解していた。
濡れた下着はすでに脱がされ、褥(しとね)の上で一糸まとわぬ姿である。
うう。床の間において、男より女の方が積極的とかあるか!
「っぁ、あぁん、……あ、ぁ……ん……――ん……」
でも気持ちいい場所に指が当たり、つい声を出していた。
慌てて口を押さえるが、その手をそっと握られた。
「声が我慢出来ないのなら、無理に抑えなくていいですから」
ついでに私の膝をつかんで、開かせながら仰る。
「……ぁっ……で、でも……」
襖(ふすま)一枚隔てた向こうには鯉登少尉が寝てるんですよ!?
「大丈夫です……っ……」
月島さんは襖一枚隔てた場所にいる上官を、なぜかあまり気にしていないようだった。
「…………」
なぜだろう。さっきから何となく違和感がある。
未だに『何故寝たのか謎なクソ山猫』に操(みさお)を立ててるわけじゃないんだけども。
「きれいだ……」
「……は?」
情事を盛り上げる睦言と知りつつ、言われたことのない言葉に、つい真顔になる。
月島さんは私を抱きしめながら、
「梢さんの身体は……本当にきれいだ……」
あ、あー。うん。ども。そら野良仕事してないし毎日フロに入ってますし、昔の人に比べれば日焼けもしてませんからね。
月島さんって無骨な軍人って感じなのに、意外と言うんですな。
「俺が……汚して、いいものなのか……」
なぜか苦悶が見て取れた。
「え? は? あ、いや、その、初めてじゃないっし……」
萎えさせるかなと思いつつ言ってみるが、
「……それでも……」
しかし非常に申し訳ないが、あなたのご立派なモノが当たってるのですが……。
何でここまで臨戦態勢になって、私も拒んでるわけじゃないのに悩んでる感じなんだろう。
よく分からん人だ。
「月島さんのお身体は傷だらけなんですね」
私はよしよしと頭を撫で、肩の傷に口づけた。