【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第3章 ラッコ鍋(尾形編)
でも、それどころではなかった。
「っ、ぁ、あ、…………あ、……あ、!」
いや私も限界だった。終わりがないかと思えるような激しすぎる打ち付け。意識が持って行かれそう。
「……っ……ん……っ」
私の身体に食い込む尾形さんの手の力と、かすかに聞こえる雄のうめき声。
余裕を崩してやったというかすかな嬉しさと、そんな不器用さをどこかで愛おしいと思う気持ち。
筋肉の盛り上がった肩にすがりつく。
……まあ、とにかく、もう色々限界であった。
「ぅ、あ……っ、あ、は、ぁ、……あ……」
互いに互いをかき抱き、一つに溶けそうなほどに密着させ、汗を感じる。
硬いモノが勢い良く内側を擦り、五感が熱くて、ただ身体が熱くて……。
「……梢……っ……」
熱い。
「ぁ、あ……あ、だめ、……ぁ、あ……!!」
頭の中が白く弾ける。
「……っ……――!!」
全身を震わせ、のけぞらせ、初めての絶頂に身を委ねた。
「…………っ……」
同時に尾形さんが身を起こした。
突然ぬくもりが離れ驚いたが、何があったか把握する間もなく、性器を抜かれ、圧迫感が消え去った。
「……くっ……」
一瞬遅れ、腿やお腹や胸に生温かいものが降り注いだ。
事態は把握した物の反応が追いつかず、私は目をぱちくりさせ、天井の梁を見ていた。
尾形さんは数秒、息を整え、額の汗をぬぐった。
「……拭く物、あるか?」
「はい……」
のろのろと懐紙を取り出し、尾形さんに渡す。
するとまず私の身体にぶっかけた精液を拭いてくれた。続いてどろどろになってる股間を。
「あ……自分で、拭きますので……」
「ああ」
紙を受け取り、自分で拭こうとして――どうしようもない眠気と疲労感に、私はパタッと倒れてしまった。
「全く……仕方ねぇお嬢さんだな」
尾形さんが尾形さんらしくもなく、苦笑する。
そして私に唇を重ねる。
それを最後の光景に、私は眠ってしまった。
…………
…………
今日は色々な尾形さんを見るなあと思う。
「……覚えてない? 何も? 全部……!?」
口を開けば皮肉しか言わない顔が、今は呆気にとられて私を凝視している。
私は着物姿で腕組みし、首を傾げた。
「ええ。鍋を作ってからの記憶が全く無くて」