【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第8章 第七師団
当たってる。ええ。たくましいものが当たってますとも。
「はぁ、はぁ……」
鯉登少尉は眉根を寄せ、私の愛撫に忙しい。息づかいが荒い。というか体温が高い。
あと布越しに伝わる心拍数があまりにも高くて、こちらまで緊張してきた。
「梢……痛くは、ないか?」
でもやっぱり優しい。愛撫の合間にちょくちょく聞いてくる。
「ん……だ、いじょぶ、です……」
彼は剣の鍛錬を毎日欠かさない。その大きくてごつい手が胸を荒くわしづかむ。
つかんで、適度に力をくわえながら舌先で愛撫する。
「……っ……ん……!」
ちりっとする快感に身体が震えた。それを見て鯉登少尉がホッとした顔をするのが見えた。
そして片手を恐る恐るといった感じで下半身に伸ばしていく。うん。すっごい慎重。
けど同時に余裕が無い。
年下の小娘相手に何とか余裕ぶろうとしているが、私に当たってる『ブツ』がすでにガッチガチである。いやすでに暴発寸前というか……。
これ、”本番”までもつのか? いやそれならいっそ――。
しかし鯉登少尉は冷や汗さえ浮かべつつ、
「その、怖がらなくていいぞ……お、おまえはただ横になって全て私に任せて……」
「音之進様、ちょっと咥えましょうか?」
沈黙。
鯉登少尉の動きが数秒止まる。
「……………………梢。おまえ、今、何と言った?」
ものすごく目を見開いて言われた。
「あ、いやあ……今のはその、あの……」
ヤバい。これじゃあ完璧にその手の商売のお姉さんじゃないか。
萎えさせた? それ以前に鯉登少尉への侮辱と受け取られたかも。
「梢!」
「は、はい!!」
大声で言われ、ドキッとする。
結婚する気はないけど、お兄さんのような人だったし、やっぱり嫌われたくない。
「おまえ……まさか月島や尾形にそんなことを強要されていたのか?」
「はい?」
「あ、あいつら、おまえの意思が弱いのを良いことに、そんな無体を……!」
「あー、いえ……」
さらっとひどいこと言われてるし! あとここでも鶴見中尉は除外なんだな。
いやどうでもいいわ。否定も肯定もヤバいでしょ、この質問!
ただ――私をなじるんじゃなく、まずそういう風に考えてくれる。
優しいんだなと思った。