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【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】

第8章 第七師団



 前略。絶対に絶対に絶対にバレないだろうと思ってた人に、どうやらバレてたらしい。私が他の時代から来たってことを。

 いや何で!? どうして!? だがここは何としてもごまかさねば。

「げほっ、ごほ……す、すみません。ち、ちょっと引っかけてしまいまして!!」
「いや構わないよ。それで、君は何年後にあたる世界から来たのかね?」

 鶴見中尉、目がキラキラしている(怖い)。

 待って待って待って。

「なななな何のお話ですか、鶴見様。やっだあ、もしかして鶴見様は超能力とか信じる御方ですか? 意外~!」

「信じるとも」
「は?」

 それこそ『意外』な返答が戻り、耳を疑う。

「霊能力だろうが、超能力だろうが信じよう。彼ら彼女らが戦争に従軍し、敵の正確な位置と作戦行動を予測してくれれば大金を投じても雇おう」

 ……そういやアイヌの金塊だかを探してる首領だったな、鶴見さん。

「だが”我こそは神に選ばれし者なり”とのたまう者たちは、不思議と、恐ろしく限られた空間でしか力を使えないらしい。
 予言者が己の力を喧伝するのはいつだって災厄が起こった後だ。
 そして一様に、国家のためにその力を役立てることは断固として拒否する」

 鶴見中尉は手回し充電器のハンドルを回しながら、悩ましげだ。

「は、はあ。そうですね……」
 
「だが梢。君は彼らのような詐欺師とは対極にある」
「いやそんなことないです! 全部インチキ!!」

「ならば私は、この手巻き式機械をどう説明すれば良いのかな?」
「…………」

☆太陽光発電付き災害用手回し充電器(2019年製)☆
 ソーラーパネル(1954年発明)
 ABS樹脂(1954年発明)
 LED(1962年発明)
 リチウムイオン電池(1980年代発明)

 ぐうの音も出やしない。
 鶴見中尉はハンドルを巻きながら、
 
「君の持ち物は万人が検証可能だ」
「……ええ、何かね、もうね……」

 あれだけ気をつけて頑張ってきたのに。歴史改編だ~おしまいだ~。

「鶴見さん。いつから私が明治の人間じゃないって気づいてらしたんです?」
 白旗は揚げたが、それだけは気になった。

「君に初めて会ったとき」
「へ?」

 ……ええと……これまた記憶がおぼろげになっているが、雪の日に第七師団に保護されたときだったっけか?

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