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【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】

第8章 第七師団



 いやちょっと待って待って待って。

(今は私に手を出してるけど)普段から感情を表に出さない、規律の塊みたいな人が!? 元死刑囚!?
 いったい何をして!? というか『元』がついでるけど、今はどうなの!?

 完全にパニックに陥って固まった私だった。が、もしかすると、それも彼の計算のうちだったかもしれない。

「だからといって、あんな山猫野郎にあなたを渡しはしない。
 例え下らない他の男に盗られようとも、俺だけは、あなたを――」
「……っ……!」
 
 やや乱暴にベッドに押さえつけられる。
 藪をつついて蛇を出しただろうか。月島軍曹、変なスイッチ入ったかもしれん。

 月明かりに、うっすら笑う月島さんが見える。
 普段とは違う、どこか加虐的な笑いだった。

 ……こっちがビビってしまい、精神的な立場が逆転してるってバレてるな。

「どうせあなたを手に入れられるのが、これで最後なら――」
 その低い声に、身がすくむ。
「ぁ……っ……!……ん」

 抱き寄せられ、強引に唇を重ねられる。舌を無理やりに入れられ、しばらく唾液の絡む音が響いた。

 また選択肢をミスった。穏やかなうちに頭を殴って昏倒させるんだった……。
 
「梢さん。俺をどうにかして逃げようなど、お考えにならないで下さいね」

 こちらのボタンを丁寧に外しながら、ドスの利いた声で頼まれた。
 ……いや、依頼じゃないな。脅迫だコレ。
 元死刑囚という新情報もあり、月島さんがヤのつくご職業の人に見えてくるんだけど……。
 
「梢さん。身体を起こして下さい」

 言われて素直に起き上がる。べ、別にビビってないし。怖がってないし! ここは言うことを聞くしかないわけだし!

「……あのときを思い出しますね」
 私の上着を脱がしながら、耳元でささやいてくる。
「え?」
「夕張にいたときですよ」
「!!」
 黒歴史を自分から蒸し返すか!?

「俺が傷つけてしまい、あなたの生活の面倒を見た。
 あのとき、俺をずっと怖がっていたでしょう?」

 う、うん。そうだけど……月島さん、何かキャラ違わね!?

「声も出せず、身体も満足に動かせないあなたを犯したいとずっと思っていた。
 いえ妄想だけなら夜毎していましたがね」

 ……見たことのない月島さんが目の前にいたのであった。

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