【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第7章 尾形さん3
……好き。
――――ん?
たった今、内側に生まれた感情に、一瞬だけ素面(しらふ)に戻る。
私、今、何を考えた?
「梢……っ……!」
「ん……っ……ゃ……!」
けどそれどころでは無かった。
尾形さんは私をさらにきつく抱きしめ、欲望を全てぶつける勢いで、さらに激しく動き出した。
「……ぁ、あ……やぁ……! 尾形、さん……っ……もっと、ゆっくり……っ……」
「出来る、か……そんな、顔、しやがって……!」
どんな顔ですか! 罵倒したかったけど、噛みつくように口づけられただけだった。
今までに無かった感覚だった。触れられている箇所、全てが熱い。
胸の奥がきりきりと痛み、何か分からないものでいっぱいになる。
「っ……ひ、ぁ……っ……、ダメ……っ!」
足を抱え直され、最奥まで突き上げられる。
イキたい。でもイキたくない。もっと、つながっていたい。
「っ……ぁ、……あ、ぁ……っ……」
「……梢……っ……」
尾形さんが私をまっすぐに見、そして抱きしめる。
今までに無かったような、強く、優しい抱擁だった。
一瞬だけ、二人の間に何かが通ったような、そんな錯覚を覚えた。
そして。
「ぁ……ぁ……あ、……――――っ!」
限界を超え、呆気なく絶頂を迎えた。
頭が真っ白に染まり、私は尾形さんの腕の中で果てたのであった……。
…………
…………
「ん……」
深い眠りから覚め、身じろぎした。
夜明けは遠いが、日付は変わっただろう。
すでに他の客室の宴会の音も絶え、静寂だけが流れていた。
すぐそばから寝息が聞こえる。
私を抱きしめたまま眠りにつく、尾形さんであった。
……腕枕が硬い。
狙撃手の大事な腕なので、とりあえず身体を起こし、尾形さんにお布団をかけ直す。
そして水差しから茶碗に水をついで飲んだ。
一息つき、私は浴衣を羽織り直し、障子を開けた。
夜空に月がこうこうと輝いている。
縁側に座り、しばらくぼんやりと、それを眺めていたた。
「何やってんだ、梢。風邪引くぞ」
うおわっ!! 尾形さんが横に座った!
足音も何も聞こえなかったぞ!!