【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第7章 尾形さん3
気まぐれな山猫には珍しく、奴は超ご機嫌だった。
本当、ゴロゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえてきそうなくらい。
ギュッと抱きついて身体をこすりつけてくる。
この人絶対、先祖に猫がいるだろう! 時々、指を近づけると匂い嗅いでくるし!
「ほら、こっち来いよ。早く寝ようぜ」
『来い』というか、ほぼ引きずられていく。お布団の方に。
口調は優しいが、私を腕の中から解放する気はないようだ。
何だ? ラッコ肉の効能か? それとも食事にマタタビでも混じってた?
「梢」
唇を重ねられる。
ああもう、せっかちだなあと思いつつ、敵の身体に手を回し、キスに応えた。
すでに明かりは消され、窓からは月の光。
遠くの座敷から宴会の賑やかな声が響くが、この部屋の甘い空気を乱すほどではない。
尾形さんの着てるものが、いつもと違うというだけで、どこか新鮮に感じる。
尾形さんもそうなんだろうか。最近、私は洋装ばっかだし。全裸とはまた違った感じに思われてるといいなあ。
「ん……ふ……」
相手の舌が口に入り込み、中をゆっくりと舐っていく。珍しく、焦らす感じで……。
「…………」
失礼しました。全然堪える気がないようです。腕を回され腰とかケツとかいやらしく撫で回されてます。かと思うと浴衣の胸もとに手ぇ突っ込まれてます。
うーん。私からも、もう少し積極的に行くべき?
何で私、こんなこと考えるんだ。ラッコか? ラッコの力なのか!?
いや、いやらしい気分になってないから! 普段の私、もう少し貞淑ですから!!
……自分で言っておいて一片たりとも説得力が無い気がするが、とにかくこちらからも尾形さんの身体を触ってみた。
やっぱ現役の軍人さんだなあ。体脂肪をほとんど感じない。
「梢。くすぐってぇよ」
ケツを撫で回したせいだろうか、尾形さんが顔を離し笑った。やっぱ機嫌いいなあ。珍しく私が乗り気なせい?
「どうせなら――」
と、私の手をつかんで、半勃ちなアレを触らせる。
「ん……っ……」
中途半端に勃ったアレが、ちょうど私の股間に擦れる。
キスをしながら、互いの身体に触れているうちに、だんだんと頭がふわふわしてきた。
てか、本当にふわっとしてる。
背中を支えられ、ゆっくりとお布団の上に横にさせられた。