【尾形】うちの庭が明治の北海道につながってる件【金カム】
第6章 月島軍曹2
※夢主への暴力描写注意
視界が暗闇に閉ざされる。
部屋の扉が閉められたのだ。
そうか。劇薬の的になると思って、部屋のドアを閉めて暗闇にしたのか!!
てことは、今すぐ動かないと!! 私は立ち上がり、逃げ――。
「…………っ!!」
衝撃。一秒が一分にも思えた。
心臓が止まった内臓が潰れたと、本気で思った。
私は強靱な拳で、腹を全力で殴られた。
反動で身体が宙に浮き、私は猛烈な勢いで剥製をなぎ倒しながら、別の台の向こうへ派手に転がった。
どっちが上か下かも分からない。壁にぶつかってやっと止まった。
い、痛い。どこが痛いのか分からないくらい痛い!!
腹がねじきれそうで、その場で嘔吐した。
相手が銃から接近戦に切り替えたということは、頭では分かってた。
でも私は軍人でも無ければ、アスリートでもない。
反応が遅れた。
さっきの月島軍曹は目に見えない素早さだった。
部屋の扉を閉ざすと同時に反転し、こちらに疾走。一瞬で台を飛び越え、まごまごしてる娘の腹に拳をめり込ませた。
驚くほど簡単だっただろう。
私は必死に生存する方法を考える。
そうだ……スプレー……、あれがあれば……。
ダメだ、吹っ飛んだショックでどこかに転がったらしい。見つからない!!
私は腹ばいのまま、無様に闇を手探りし出す。
暴力で完全に冷静な判断がマヒしていた。
「!!」
銃剣が真横の床に突き刺さり、我に返った。
動くのが一瞬遅れてたら、首の頸動脈を切っていた。
……落ち着け。こちらにも暗闇だが、向こうにだって暗闇なのだ。
おおよその位置しか把握していないからこそ、銃剣の狙いを間違えたのだ。
逃げ……ないと……。
「……っ!!」
背骨が砕けるかと思う衝撃。月島軍曹が膝を私の背中にドガッと乗っけた。
たかが膝、されど膝。
男性が全体重をかけて背中に打ち込むと、立派な武器になるのだと思い知らされる。
痛い痛い痛い。背骨がきしむ。喉が焼ける。誰か助けて。
……!
暗闇を探っていた手が、薬瓶をつかんだ。
それを投げようとしたが、その前に腕をつかまれる。
そして……まあ、その何だ。思い切り、思い切りだね。
無 理 な 方 向 に 曲 げ ら れ た ☆
ベキボキバキッという音が響いた。