第13章 本音
深い闇のなかで動かない体をどうしたら良いのか考えていた。
上から何かに押し潰されている感覚がある中で手には常に暖かな物が触れている感触があった。やっと片手が動けと言う、頭の指令に反応すると体から重りが少しずつ離れて行く、それに合わせるように少しずつ体を動かして行った。すると視界にはフェイタンとフィンクスの焦った顔が飛び込んでくる。
「フェイタン、フィンクス。」
上手く声がでなかった。しかし、二人は安堵の表情を見せた。
「はぁ、良かったぜ。」
フィンクスは肩の力を抜いた。フェイタンも同様だ。
「アリア、痛いところは無いか?」
フェイタンが優しく聞く。
「今は無いです。」
まだ、なかなか声が出ない。フィンクスが何を思ったか、私の上半身を支え、水を流し込む。久しぶりに液体が喉を通り、少しスッキリする。
「アリア、3日も口にいれてねぇから、喉乾いてんだろ。」
フィンクスが気を聞かせてくれたのだ。
「3日も寝てたんですか。」
フィンクスの言葉から推測した。
「悪かったな。俺らの喧嘩を止めてもらって。」
「ワタシも悪かたよ。」
二人の反省した表情を見てほっとする。
「二人が怪我する前に止められて良かったです。」
ゆっくり微笑む。
「あの!二人に怒らないで聞いてほしいことがあるんです。」
『?』
二人は顔を見合わせ、はてなを浮かべるが、直ぐに話を聞く体制になる。
いつかは言わねばいけないと思っていた。旅団に入団した時は、決して口にしてはいけないと思っていたが、それは逆だった。旅団ではいつ誰が死んでもおかしくない。そんな中で後悔をすることはしたくなかった。だからこそフィンクスとフェイタンとの今の関係性はハッキリさせておく必要がある。
(この際だ。言いたいことを言ってしまおう。)
「率直に言います。私、お二人のことが、その恋愛的な意味で、大切で大好き何です。だから、お二人からキ、キスとかそう言うことをされると私、お二人のことをもっと好きになって、もし、こんな話を聞いて、迷惑に思うのなら、もう、止めて下さい……」
だんだん胸が苦しくなってくる。涙が溢れていた。
それを隠すように俯く。二人の顔を見れない。
「はぁ、アリア、俺らの話も聞いてくれるか。」
沈黙を破ったのはフィンクスだった。彼の真面目な声に素直に頷く。