第12章 再び
「フィンクス!ワタシの部屋に急ぐね!」
フィンクスとフェイタンは先程までの激しい喧嘩とは無縁の連携プレイを見せていた。アリアをフィンクスが抱え、フェイタンの部屋へ急ぐ。
「フェイ!ベッド使うぞ!」
何故フェイタンの部屋か、それは彼の部屋がここからもっとも近いからだ。アリアをベッドに寝かせしばらくするとマチがアリアから預かっていたパーカーを持ちフェイタンの部屋に訪ねてくる。
「アリアのだよ。」
マチがフェイタンにパーカーを渡す。
「何故お前らアリア止めなかたか?」
マチをフェイタンが睨む。
「アタシは止めたよ。けどアリアはそれを聞かなかった。それだけのことだよ。それより、何で喧嘩したか知らないけどね。あんた達が喧嘩して一番悲しんでたのはアリアだ。だからアリアが目を覚ましたらちゃんと謝んな。じゃなきゃ後で団長に喧嘩したことチクってやるからね。」
マチは言いたいことを終えると部屋を出ていった。
フィンクスはベッドに横たわっているアリアを心配そうに見つめていた。フェイタンもたった今マチに言われたことが頭から離れずにいた。
「フェイ、団長がいた頃にも似たようなことあったよな。」
「そうね。アリアに喧嘩止めてもらうの、これで2度目よ。」
「あぁ、そうだな。」
それから二人はただ無言で、アリアが目覚めるのをひたすら待っていた。どちらか一方が部屋から出ていっても、必ず片方は傍に寄り添った。フェイタンとフィンクスは代わる代わるアリアの傍でずっと居続けたのだ。
いつの間にか3日がたとうとした時だった、今までピクリとも動かなかった指が微かに動く。これを見逃さなかったフィンクスはフェイタンを呼ぶ。
「フェイ!」
近くで読書をしていたフェイタンは名前を呼ばれ顔をあげる。
「どうしたね。」
「手が微かだが動いた。」
フィンクスの言葉にフェイタンは、アリアの顔を覗き込む。うっすら目を開けている。
「アリア?しかりするよ。」
フェイタンの言葉に誘発されたかのように、ゆっくりと瞼を持ち上げる。